カテゴリー: 会社設立コラム

会社設立に関するコラム

  • 合同会社設立申請前の準備②

    会社の設立を申請する前に決めておかなければならないことを整理しておきます。前回は「会社の住所を決める」で、今回はその第2弾「会社の名前を決める」「会社の事業内容を決める」です。

    会社の名前を決める

    以前は会社登記を行う同じ市区町村内に同じ名前の会社は設立できませんでした。しかし2006年の会社法施行により類似商号規制は撤廃されて、現在では本店所在地が異なる場合であれば、同一市区町村内であっても同じ名前の会社を設立することが可能になっています(逆にいえば、会社の住所が同じ場合には、同じ名前の会社は設立できないことになります)。
    では名前は自由につけてよいのかというとそうでもなくて、著名な他社の商号に似せた名称を使うことや、銀行でもないのに「銀行」を名乗ることはできません。それでも、このあたりの制限事項に気をつけていれば、会社の名前に厳しすぎる制限がついていることはないと考えてよいでしょう。せっかくなのでオリジナルの名前をつけたいものです。

    ちなみに会社の名前(商号)は登記・供託オンライン申請システムで調査できます。

    会社の名前 制約

    合同会社の場合は、会社の名前の前か後に「合同会社」をつけなければなりません。例えば、会社の名前を“ITほげほげ”としたいのなら、「合同会社ITほげほげ」か「ITほげほげ合同会社」のどちらかになるということです。そのほかには、以下のような制限があります。

    • 使える文字に制限がある。
      • 漢字、ひらがな、カタカナ、アルファベット、数字と、いくつかの記号
    • 会社の支店や一部門名のような名前はつけられない。
      • 「〇〇支店」「〇〇事業部」のような名前はつけられない。
    • 特定の業種を示すもの、公序良俗に反するものなども使えない。
      • 例:「銀行」は、銀行以外の会社では使えない。

    一般的には、会社の事業や考えを端的にあらわした名前がよいようです。くわえて、例えばですが、読みやすい、覚えやすい、長すぎないといったものがよいでしょう。

    会社の名前を決めたら、のちのち会社名の読み仮名を申請書に記載する必要がでてきますので、会社の名前の読み仮名も決めておきましょう。
    上記の例で説明すると、会社の名前が“ITほげほげ”であったとしたら、これは「アイティーホゲホゲ」と読むのか、それとも「アイテーホゲホゲ」と読ませるのかというようなことです。読み方に揺れがあるのはまずいので、この段階で決めておくのがよいと思います。

    会社の名前 英語名

    日本語の会社の名前を決めたら、英語名も考えておくことにしましょう。
    会社の英語名は、名刺でも使うことが考えられるます。また会社の英語名を使ったドメイン名を取得して、Webページやメールアドレスを作成することが考えられますので、英語名を考えておくことは重要です。

    会社の英語名を決めたら、ドメイン名の想定も考えておくほうがいいと思います。
    例えば“ITほげほげ”という会社の名前の英語名を“IT hogehoge”としたとします。この場合、ドメイン名としては“it-hogehoge”にするのか“it_hogehoge”なのか、 はたまた“ithogehoge”なのかというようなことです。
    そしてドメイン名として実際に取得できそうかどうかは、ドメイン名取得ができるプロバイダが提供しているドメイン名の検索で確かめることができるので確認しておいたらよいかもしれません。
    この段階ではTLD(Top Level Domain)を何にしようか(例:”.com”にするとか”.jp”にしたい とかです)決まっていないでしょうから、TLDや2LD(2nd Level Domain)を適当に付加してみて、 例えば“it-hogehoge.com”や “it_hogehoge.co.jp”を検索してみるとよいでしょう。

    会社の事業内容を決める

    次に会社の事業内容を決めておきます。
    会社の事業内容は、会社の定款に書くもっとも重要な記述といってよいと思います。

    筆者がすすめる、事業内容の決めかたは以下のようなものになります。

    • 事業は多くても“3つ”くらいにする(別に1つだけや2つ、4つあるいはそれ以上が悪いというわけではありません)。
      • 数が多いと、外部からみて、なにをしたい会社なのかがわからなくなるので避けたほうがよいようです。
      • 近い将来に行いそうな事業は入れておく(そうすれば定款を変更しなくて済みます)のがよいと思います。しかし、遠い将来に行うかもしれない事業(ホントにやるかどうかアヤシイと考えているような事業)は入れないほうがよいでしょう。
        • 事業実態がまったくともなわない事業を定款にくわえているのはあらぬ疑いのもとになりかねません。定款の変更は、お金はかかりますが、いつでも可能ですので心配ありません。
    • 選んだ事業のうち、主に取り組む事業を1つ目に置くようにします。
      • 申請書によっては事業を1つだけ書く場合があるので、その場合には1つ目の事業内容を短くしたものを書くようにするとよいでしょう。
    • 選んだ事業は互いに、微妙に関連しているもののなかから選ぶとよい気がします。
      • どう考えてもひとり社長が一つの会社でこなすのが困難に思えるような、互いにまったく関係のない事業を並べるのは無理があるでしょう。
    • 選んだ事業は、定款に記載することになるので注意します。
      • 定款に記載の事業以外は、会社の事業とはみなされないことになるので注意するのがよいでしょう。
      • 例えば会社の事業として3つ選んだとして、それを定款に書くときには、定款上は4つ目の事業として「前各号に附帯する一切の事業」と書くことになります。ですので、会社の事業として選ぶ3つの事業は本当に自分がやろうと考えている事業に絞るようにしましょう。

    会社の事業 制約

    会社の事業として書ける内容には、以下の制約があります。

    • 法令や公序良俗に反しないこと
    • 営利目的であること
      • 例えば「寄付」や「政治献金」は営利目的にはならないので書けません。
    • 明確で、具体的な内容であること
    • 許認可が必要な事業を書く場合には気をつける(許認可をとる)
      • 不動産業、建設業、旅行業、人材派遣業など

    これらにくわえて筆者としては、以下のような点に注意したらよいと思います。

    • 事業内容は、今できることの中から考えるのがよく、ゼロから習得しなければならないものは避けたほうがよいでしょう。
      • そのいっぽうで、今できることだけ、一本だけで勝負するのは誤っている気がしています。世の中や時代は移りゆくものです。自分のがんばりで手が届くと思える領域の事業であれば、入れておいてよいというのが筆者の考えです。
    • 仕事の当てがある(ありそう)な事業は入れておきましょう。
      • どんな形態の会社でも、会社は利益を追求するのが本分ですので。

    会社の事業 こんな感じはどうでしょう

    筆者はIT関連の仕事を長年続けてきていましたので、コンピュータ関連くらいでしか会社の事業の想像がつきません。みなさまの参考になるかどうか自信はありませんが、以下のような例はどうでしょうか。

    • 企画・設計・作成:ITシステムの設計やプログラミング
    • コンサルティング:得意分野についてのコンサル業務
    • 運用・運用支援:熟知しているシステムの運用(またはその支援)
    • デジタルコンテンツ:デジタルの画像・動画・音楽等の制作や配信
    • 教育:得意分野、資格を持っている分野に関する教育活動
    • 調査研究:特定の得意な領域についての調査や研究

    これらのうちから2つ3つを会社の事業としてピックアップしてみます。どれをとっても互いに、微妙に関連していて、全体としてもIT関連の大枠の中に納まっている(一定のまとまりを感じられる)と思うのです(私見です)。

    筆者の意見では、自分の得意なことや興味がある領域で、できれば長年手掛けてきたことが望ましいと思うのです。例えば会社生活で長年手掛けてきたこと、またはそれに近接した領域は一番確度が高いと思えます。
    そのいっぽう、あえて興味がないことに取り組むのは苦痛ですからやめたほうがよいと考えています。このコラムの読者として考えているのは、第一には定年後の隠居老人風起業家ですので、残りの人生はできるかぎり苦痛から遠ざかっていたほうがいいと思うのです。 例えば、儲かりそうだという理由だけで飛び込むのはストレスの元じゃないでしょうか。


  • 合同会社設立申請前の準備①

    会社の設立を申請する前に決めておかなければならないことを整理しておきましょう。いざ会社設立の申請書を書こうとすると、まっさきに行き詰まる点ばかりです。
    筆者の経験談を盛り込みましたので、きっと参考になるのではないかと思います。

    申請の方法を決める

    まず合同会社の設立の申請は、紙で行うか、電子で行うかを決めましょう。

    そのとき「今どき“紙”かよ」と、早々に結論を出さないほうがよいと思います。
    書店や図書館に行くと合同会社の設立についての本はたくさんありますが、電子での設立申請について詳しく書いたものは、筆者の見聞では、ありません。ですので電子での申請を選択した場合は、いきおい自分でやり方を調べるところからはじまるのです。その際に会社設立のプロでもない一般ピープルがいくら調べても、肝心なところ、迷うところ、思ってもみないところの情報が抜け落ちる可能性があります。電子での申請は、意外に苦労する1のです。ですので短期間で、確実に会社設立を遂げたいと考えているのであれば、紙をおすすめします。

    実際の話、やってみるとわかりますが紙と電子の申請の違いは以下のような点くらいで、大差はありません(私見ですよ)。

    • 紙での申請には、収入印紙(4万円)の貼付が必要になります。電子申請では収入印紙は不要です(そのぶん費用は節約できる)。
    • 紙での申請の方法については参考となる書籍などが多いので、わからないことを調べる時間を取られることがすくない。
    • 徐々にではあるが電子的な申請や納付が増えてきているので、今後のことを考えれば最初(会社設立時)から電子申請に慣れておくのがよい。

    また「電子申請」とひとことで言っても、このことばの意味として以下の2つがあります。

    • オンラインで提出する方法
    • 電磁的記録媒体に記録し、提出する方法

    電磁的記録媒体っていったい何だろうと思われたみなさま、これはCD-RやDVD-Rのことです(だそうです)。
    電磁的記録媒体というのは物理的な存在(モノ)ですので、けっきょくはそのモノを法務局に持参または書留郵便で送付しなければなりません。ここで「あれ?」と思ったみなさま! そうです、だったら印刷して紙で提出しても違いはありません(しかもそちらのほうがずっと手間がかかりません)。

    このあとこのコラムでは電子申請、それもオンラインでの申請を、筆者の経験にもとづいて説明します(紙や電磁的記録媒体での申請については説明していませんのであしからず)。

    さて電子で申請するか(紙で申請するか)を決めたら、実際の設立申請の前に、以下の3点を決めていきます。

    • 会社の住所(本店所在地という)を決めます。
      • 自宅にするか、事務所を借りるかを決めることになります。
    • 会社の名前(商号)を決めます。
      • 会社名として使えそうかどうかを調査し、決める必要があります。
    • 会社の事業内容を決めます。
      • 事業を決めますが、事業は多くても“3つ”くらいにするとよいでしょう。

    ではひとつひとつ説明していくことにします。

    会社の住所を決める

    会社の住所(本店所在地という)は、名刺や請求書や自社のWebサイトに載せることになります。そのため「せっかく会社を設立するのだから…」と、見栄えを気にして背伸びしてしまいたくなる気持ち(例えば、東京都港区六本木だったらカッコいいなといった感覚)も湧かないわけではないでしょう。このあたりは設立者の希望や好みにかかわることでもありますので、最後は自由に決めていただいて構わないと思います。これから設立する自社のイメージに合った住所を選択するというのは、それはそれで立派な理由です。
    以下の説明は、会社の住所を決める際に筆者が考えたもろもろの想定や、突き当たった制約や条件です。ご参考になさってください。

    まず会社の住所を決めると、税の納付先も決まることになるのを心にとめておく必要があります。法人税などの国税を税務署におもむいて納税するようなことも今後は減っていく(例えば、納税をオンラインで行う)ことになるでしょうが、税務署への交通の便を確認し、場所を加味して会社の住所を決めるのもよいかもしれません。
    くわえて、法人住民税などの地方税の金額は会社の住所がある都道府県や市区町村によって違いがある可能性があります。ですので、会社の住所を置く自治体の情報を確認しておいたほうがよさそうです。

    そうはいっても会社の住所は、現実的には、自宅にするか、事務所を借りるかの二択しかありません。会社の住所を自宅にしたら、自動的に都道府県・市区町村がきまります。会社の住所を自宅以外にする(つまり事務所を借りるなど)場合であっても、現実的には居住している自宅の近隣の都道府県・市区町村になるでしょう。会社の住所は、どこにしようかと悩みはするものの、さほど多くの選択肢があるわけではないというのが現実でしょう。
    会社の住所を自宅にする場合には、以下の2点に気をつけます。

    • 自宅が賃貸の場合、法人登録可能かどうかを確認しておく必要があります。
      • 賃貸住宅の場合、賃貸期間を終了したときに会社の住所も変更(登記事項の変更)しなければなりません。
        • 住んでいない賃貸住宅を会社の住所としたままに放置しておくと、重要な通知等が手元に届かなくなってしまいます。
        • 場合によっては、会社の登記事項の変更が完了したことを証する登記簿謄本の提出を家主から求められることも考えられます。
      • 賃貸住宅の住所を無断で会社の住所とした場合、トラブルのもとになりかねませんので注意してください。
    • 持ち家の場合、家族の了解を得るようにしておきます。
      • 会社の住所宛に通知やダイレクトメールが届くようになりますから、家族の了解なしに自宅を会社の住所にするのはやめましょう。
      • 会社を登記すると、会社の住所として自宅の住所が一般に公開されることになります。住所の公開に慎重にならざるをえない家庭事情がある場合も考えられますから、家族の了承は必要です。

    いっぽう事務所やシェアオフィスを借りて会社の住所にする場合の注意点は以下になります。

    • 事務所を借りる場合、とくに費用について熟慮の必要があります。
      • 店舗を必要としている事業を行うのであれば別ですが、ひとり社長で、売上もままならぬ会社設立時から事務所を借りると、とたんに行き詰まる可能性もあります。事務所を借りる場合には初期費もさることながら、賃貸料が固定費として毎月かかりますから慎重に考えたほうがよいでしょう。
      • 事務所の賃貸期間を終了したとき(賃貸契約を更新しなかった場合など)に会社の住所も変更(登記事項の変更)しなければなりません。
        • 場合によっては、会社の登記事項の変更が完了したことを証する登記簿謄本の提出を貸主から求められることも考えられます。
    • シェアオフィス等を借りる場合、提供されるサービスを考慮します。
      • シェアオフィス等には、数々のサービスが附帯しています。必要なサービスが得られるか、必要以上のサービスが盛り込まれていないかよく確認しましょう。
      • シェアオフィス等を借りる場合、独立した事務所を借りるよりは安く上がる傾向にあります。ですが、事務所を借りる場合と同じ注意が必要です。
      • シェアオフィスの利用期間を終了したときに会社の住所も変更(登記事項の変更)しなければなりません。
        • 場合によっては、会社の登記事項の変更が完了したことを証する登記簿謄本の提出をシェアオフィスの運営会社から求められることも考えられます。
    • 公共的な施設がある場合、見学などを行い条件を確認しましょう。
      • 起業の支援の一環で、公共的な施設に会社の住所を置くことができる場合があります。居住している市区町村にそのような公共サービスがないか確認しておくとよいでしょう。
        • 外の事務所やシェアオフィスを借りるよりもはるかに安い料金で利用できる可能性がありますので、そのような施設がないかぜひ調べてみましょう。
      • 公共的な施設は、筆者の経験では、意外と厳しい条件が付けられていることがあります(例:起業後一定の年数で退去しなければならない、ほぼ毎日その施設を利用することが求められる)。条件を確認し、順守できるかどうか考える必要があります。
    • 申込時に審査に時間がかかる(数週間~数ヶ月)ので注意が必要です。
      • 申込時に審査があると考えておいたほうがよいです。そして審査には、ときに思った以上の時間がとられます。なるべく早く起業したい、とある期日までに必ず起業したいなどの制約条件があると、「事務所を借りる」「シェアオフィスを借りる」「公共的な施設を借りる」のどの場合でも条件を満たさない可能性があります。注意しましょう。

    会社の住所 筆者の経験から

    筆者の場合、事務所を借りることは最初から考えませんでした。考えうる選択肢の中でも、初期費用も毎月の賃料も最も高額になるということが想定されたためです。

    いっぽうシェアオフィスについては、候補をネットで複数検索して、料金やサービスの比較検討を行いました。
    比較検討を行った項目には、「名称」「住所」「アクセス」「管轄の税務署」「本店住所の名称表現がどうなるか」「入会費」「会員種別ごとの料金」「利用時間」「登記可能か」「シェアオフィスの入り口に社名の表示が可能か」「会議室の使用」「ポスト」「電話設置」などがあります。シェアオフィスを実際に検索して調べ始めると、これら以外の比較項目も思い浮かぶと思います。ぜひ自分の視点でまとめてみてください。
    比較項目のうち、次の点については注意が必要だというのが筆者の考えです。

    • 「アクセス」は重要です。立地が遠い(電車通勤になるなど)場合には、通勤費が必要になるので、これが固定的な経費として会社経営にのしかかってくることを考える必要があります。
      • あと、地味ですが、しかも筆者の経験的な話で恐縮ですが、定年後はけっこう外出するのがおっくうになります。とくに遠い場所だと、出勤する気持ちが萎えてしまうのをどうするかというのは考えておいたほうがよい気がします(「外出がおっくにならないために、あえて」という考え方もあるでしょうから、このあたりは個人差が大きいとことでしょう)。
    • 「シェアオフィスの入り口に社名の表示が可能か」「ポスト」は、筆者が実際に会社を設立する前には軽視していた項目です。ですが、意外に郵便物が来るので必要であると思われます。
    • 「電話」は、最近はめったには使いもしないのに、申請などで必要となります。会社設立の前は当然まだ法人格を持っていませんので、会社の名義で電話を契約することはできません。そのためシェアオフィスの電話か、もしくは会社設立の申請書には自宅の電話を使うか、もしくは設立者本人のスマートフォンの番号か、あるいはスマートフォンに050電話を新たに引く必要がでてきます。

    シェアオフィスの比較を行ったら、気になる候補先には必ず実際に見学に行ってみます。実際に行かないとわからないことは多いものです。建物やスタフの雰囲気は肌で感じてみないとわからないものです。同じアクセス時間だったとしても、きつい登り坂ばかりかもしれません。必ず見学しましょう。

    起業支援の一環で都道府県・市区町村が運営している公共的な施設についても、筆者は候補をネットで複数検索して、料金やサービスの比較検討を行いました。また実際に見学して担当者に話を聞きました。
    筆者の印象では、公共であるせいなのか条件が非常に厳しいというのが正直なところです。筆者が実際に経験し、厳しいなと感じた(実際にあった)条件には次のようなものがあります。

    • 基本的に、施設に毎日通勤してくるのが原則となっている。
    • 定員があって、満杯になっていて新規の募集していない。次の募集の予定はない。また募集を待っている待ちが多数いて、募集があってもすぐに利用できるような状態にはなっていない。
    • 施設の方針として「起業」に特化していて、起業から3年たつと施設を出る必要がある。
    • 申込時の審査に数ヶ月かかる。申し込みがあると、そのあとの月に(年に何回か開かれる)審査委員会(のようなもの)で審査され、審査の結果の通知はさらに先になる。

    このように、条件の詳しいことを事前にWebサイトなどで完全に知るのは難しいのではないかと思います。ぜひとも施設を訪ねてみて、担当の方に根掘り葉掘り聞いてみるのがよいでしょう。施設の人はみなさん親切に、細かい点まで教えてくれます。

    会社の住所 筆者はどうしたのか

    まず筆者の身には起きた、会社の住所を決めるまでに起こった出来事をお伝えして、けっきょくどうしたのかを説明しましょう。
    先の述べたとおり、公共の施設は条件が厳しすぎて筆者の条件には当てはまらないと考えて断念しました。とくに審査に何ヶ月もかかるのは受け入れがたく、あきらめることにしました。ただ施設の良さ(建屋や什器、提供サービスの良さ)は随一で、条件のきつささえなければ理想的であったので残念でした。

    次にシェアオフィスですが、これには有望なところが見つかって、実際に利用の申し込みを行いました。しかし思いがけないことが重なり、これも断念しています。
    これはたまたま筆者の運が悪かっただけだと思われもするのですが、実はシェアオフィス側のミスで筆者の申し込みが見落とされてしまったのでした。利用の申し込みを、ちょうど正月の時期に行った(新規の利用申込はWebからいつでもできるようになっていました)のがいけなかったのかもしれません。
    シェアオフィスの利用申込を行ったいっぽう、並行して進めていたそのほかの会社設立準備の作業は順調に進んでいました。そのためシェアオフィス側のミスが発覚して、シェアオフィスの利用申込が全く行われていなかったことがわかったときには時間的に手遅れになってしまっていたのです(シェアオフィスの審査期間は1週間程度で短かったのですが、他の事情が入って日程的にそれでも待てない時期にさしかかってしまっていました)。

    けっきょく筆者は、自宅を会社の住所としました。
    設立準備の作業でてんてこまいしている姿や、シェアオフィスの利用ができなくなってしまった経緯を横で見ていた家族が筆者を哀れに思ったのか、自宅を会社の住所とすることに理解を示してくれました。
    さてこれでめでたしめでたしではあるのですが、すこしだけ補足します。自宅を会社の住所にすると、外の事務所・シェアオフィス・施設を借りずに済みますので、そのぶんの費用はかからないという利点があります。それならばということで、こういうことを聞いたことはありませんか「自宅を会社にしたとき、利用部分をその会社の経費にすることができる」と。
    しかし結論からいうと筆者の場合、自宅内の会社利用部分を経費するのはあきらめました。筆者が調べた範囲では「自宅の一室を会社で占有できるのであれば相当分を経費にできる」ようです。ですが部屋数に余裕があって、あらかじめ会社で占有することを考慮していたのであれば別ですが、そんな都合によいはずもなく、実際には難しい(=経費にするのは難しい)となりました。

    会社の住所 自宅にしたらなにがおきるか

    自宅を会社の住所にすると、以下の変化があります。

    • 自宅住所が国税庁の法人番号公表サイトなどに掲載されます。
    • 自宅に、会社宛の郵便物が届くようになります。
      • 税務署、日本年金機構(⇒これらは致し方ない)などからの公的な通知
      • 会社への売り込みの郵便物
    • 自宅住所を、自分で情報発信しなければならなくなります。
      • 名刺に書く必要があります(⇒工夫のしようはあると思いますが)。
      • 請求書などに書く必要があります(⇒これは避けられないと思う)。
      • 自社のWebサイトに掲載する必要があります(⇒ふつうWebサイトに会社情報として掲載されているのが多いと思いますが、どうでしょう)。

    自宅の住所が国税庁のサイトに堂々と載ってしまうのは、ちょっとだけ抵抗感がありました(今もあります)。役所からの郵便物が届くようになるのは致し方ないところでしょうけれども、(個人宛の売り込みの郵便物に加えて)会社への売り込みの郵便物が増えるのには正直避けたいところでした(今もできるなら避けたい気持ちです)。あまつさえ自分自身で、名刺等に記載して自宅の住所をばらまかねばならないという事態に陥るので、これはかなりの憂慮のネタです。

    電話番号のこと

    会社設立の申請には、電話番号が必要となります。どうやら申請書の内容に間違いや不足があった場合の連絡用らしいので、使用する電話番号はどれにしてもさほど気にしなくてよいのかもしれません。筆者の場合ですが、実際にどこからか電話がかかってきたことはありません(設立後の半年以上は経過しています)。
    現代でしたらメールのような他の連絡手段があるので、おそらくは申請書が昔のままになっていて見直しが行われていないだけの話なのかもしれません。「電話番号は必須ではない」というネット記事を見かけたことがありますが、筆者は未確認です。

    いずれにしても会社設立の申請書にどの電話番号を使うかを検討し、事前に決めておく必要があります。

    • 自宅の固定電話の電話番号を使う場合 ⇒筆者の選択
      • 家族の了解をとっておきましょう。
    • 自分の個人スマホの電話番号を使う場合
      • 公私が混同するのでなるべく避けたいところであります。
    • 自分の個人スマホに050電話を導入する場合
      • 月額数百円レベルの負担で、個人スマホに新たに050電話を導入できます。当然ですが以降、毎月固定的に費用がかかることになります。
      • 会社設立の前なので、会社の名義で契約することはできません。

    郵便物のこと

    会社の住所を自宅にして会社を設立すると、当然ながら会社宛の郵便物が来ます。起業する前は「もしかして大量の不要DMが届くのでは」と恐れていましたが、筆者の場合は実際にはそうでもありませんでした(現在進行形)。

    会社設立から最初の3ヶ月間に届いたものは、筆者の場合は21通でした。この数字をどうみるかですが、1ヶ月あたり7通ですから恐怖を覚えるほど数ではなかったのがおわかりいただけると思います。21通のDM内訳は以下のとおりです。

    • 事務用品購入のすすめ
    • 印鑑作成のすすめ
    • 銀行口座開設のすすめ 2通
    • 経理サービスのすすめ 3通
    • クレジットカードのすすめ 3通
    • カーシェアのすすめ 2通
    • 補助金申請の代行
    • 証券会社
    • 売掛債権の買取、資金調達
    • ガソリンスタンドの法人会員サービス 2通
    • Googleマップへの登録代行
    • 情報通信サービス
    • クレジット決済サービス
    • 補助金のガイド

    前述のとおり役所の重要な郵便物も自宅に届きますので、そういった点では会社の住所を自宅にするとらくちんです(外の事務所・シェアオフィス・公共施設にしてしまっていたら、郵便物が届くたびに、郵便物が届く見込みのときにわざわざ外出しなければなりません)。
    ただし忘れてはならないことは、自宅のポストに会社名を載せておく必要があるということです。また近くの郵便局に会社を設立した旨を連絡しておきましょう。そもそも建物の住所というのは、「玄関」がある通りに面した場所で決まっています(住所の決まり方は厳密にいうと正確ではありません)。ですから、とくに戸建てでは隣近所で同じ住所の家が複数存在する可能性があります。そう、郵便配達の方々は、住所情報だけでなく住居者の氏名を頼りに配達しているのです。このため、これまで個人宅だと思っていたところに見慣れぬ会社宛の郵便物が届いたとき、ヒントがなにもなければそれをどの家に配達したらよいかわからないことになってしまうのです。自宅ポストに会社名を明示し、さらに近隣の郵便局に連絡しておくのにはそういう意味があります。

    1. 21世紀も1/4が過ぎたのに電子申請で苦労するようでは、困ったものです(筆者の感想)。 ↩︎

  • 銀行口座の話

    会社を設立したらその会社名義の銀行口座が必要になります。それくらいのことは筆者でもわかっていたのですが、会社名義の銀行口座を開設する前に、会社設立それ自体のために個人の銀行口座が必要だとは思っていませんでした(うーん、いま考えると我ながらレベルが低い)。どういうことか、順を追って説明いたします。

    合同会社には資本金が必要

    会社の設立時、資本金の金額を定款や資本金決定書に書く必要があります。また会社設立の申請時には、資本金を実際に用意したことを示す必要があります。つまり用意した銀行口座に、資本金を振込んでおく必要があるのです。ホントに振り込まれているかどうかを証明するために、銀行が発行した、銀行口座の入出金明細が必要になります。

    勘違いはなさらないと思いますが念のため。これから会社を設立しようとしているこの時点では、会社は存在していないので法人格を持っていませんから、会社名義の銀行口座は開設できません。ということで、資本金を入金する(資本金を用意する)銀行口座は、設立者個人の名義の銀行口座なのです。

    個人の銀行口座なら(無駄に)いっぱい持っているぞと、おっしゃる方も多いと思います。なぜだか、人生長く生きていると、不思議と使ってもいない銀行口座があったりします。ですから、そういった銀行口座をここで活用するので十分!と、言いたいところですが、自分が持っている既存の銀行口座はあまりおすすめできないようです。
    既存の銀行口座には過去に行った取引の履歴が残っていますから、そのままですと会社設立のために入金した資本金とプライベートな入出金履歴が混じってしまうというのがその理由です。
    というのも、会社の設立の申請時に入出金明細を添付するのは、会社設立者が個人的に「資本金相当のお金を持っている」ことを示すのが目的ではないからです。そうではなくて、今回の会社設立にあたって「きちんと資本金を用意した」と明確に示すのが目的なのです。そのため、ほかには入出金取引が一切ない、まっさらな銀行口座にポコッと資本金の入金だけがある入出金履歴が理想的ということになります。

    というわけで、資本金を用意する銀行口座は、新規開設するのが望ましいということになります(実際に著者は、新規に銀行口座を開設しました)。
    ですが既存の銀行口座でも、目的別口座1に資本金をまとめるという方法があるようです。筆者は試していないので詳細はわかりませんが、目的別口座を作成してそこに資本金を入金すればよいようです。目的別口座に資本金を移動して会社の設立申請を経験された方がいらっしゃいましたらご経験をお知らせください。

    銀行口座を新規開設する

    前述のとおり、まだ会社の設立前なので、会社名義の銀行口座はまだ作れません。そのため新規口座を開設する場合、設立者個人の名義で開設することになります。
    しかし当然のことながら会社設立後は、会社には会社名義の口座が必要となります。つまり会社を設立したあと、設立者の個人名義の銀行口座とは別に、会社名義の銀行口座を新規開設することになります。会社設立の前後という短期間の間に、2つも銀行口座を新規開設することになるのです。

    会社設立前後と銀行口座

    おそろしいことに(個人的な感想です)、会社設立後に法人口座を新規開設したあと資本金をそこに移動してしまうと、会社設立前に新規開設した銀行口座はもう使わない無用の口座になるということです。大したことはないと思いつつも、無駄な感じがしてこれは個人的には悩ましい事態と言えると思っています。
    筆者は会社の設立申請当時、目的別口座というものの存在を知りませんでしたので今から考えると残念な気がします。今でしたら真剣に目的別口座を検討してみるのがよいかもしれません(うまくいくのかどうかは、やったことがないのでわからないのですけれども)。
    ということで、筆者の場合は新たに銀行口座を開設しました。そして、どうせ新規に銀行口座を開設するであればと、以前から気になっていたサービスを持っていた銀行を選びました。みなさまも新規に銀行口座を開設するのであれば、気になっているサービスを持つ銀行や、面白いサービスを持つ銀行を選んでみてはどうでしょうか。
    それと同時に、法人口座を新規開設したあとの使い方を考えておく必要があると思います(もちろん口座を解約しても構いません)。

    ちなみに著者の意見としては、新規に口座を開設する2つの銀行は「ネット銀行」に限ると考えています。理由はいたって簡単で、オンラインで手続きが済みますし、大手の銀行に比べると口座の開設審査に時間がかからない傾向があるからです。口座の開設に印鑑が必要になると、これまた面倒です(とくに法人口座のほうは、法人の銀行印を事前に作成しておかなければならないことになりますので)。

    1つ目の銀行(会社設立前の銀行)

    このコラムは、著者の経験をもとにしていて、できるかぎり具体的に書くことにしています。しかし同時に、具体を追及するあまり話題のなかに固有の会社や商品が出るのは望ましくないとは考えています。逆に固有名詞が出ないと全体にモヤっとした感じになってしまうので悩ましいところですが、特定の会社の特定の商品を宣伝することにもつながりかねないのでほどほどにオブラートに包むことにいたします。ご了承ください。

    まず著者は、会社設立前に新規口座開設を行う「1つ目の銀行」を、会社設立後に法人名義の「2つ目の銀行」が新規口座開設されたあとも解約しないことにしました。
    そして1つ目の銀行(個人名義の口座)は、2つ目の銀行(会社名義の口座)から給与振込を受ける口座にしました。

    会社設立前後と銀行口座の活用

    以下は、とくに個人的な意見によるものですのでご注意ください。
    資本金を振込む1つ目の銀行には、筆者は以前からすこし気になっていた特典が付くネット銀行を選びました。会社設立後も個人の銀行口座として存続させると決めたので、このように特典の有無で銀行を決めるのもよいかもしれません。読者のみなさまはそれぞれの事情に合わせてお考えください。

    2つ目の銀行(会社設立後の銀行)

    2つ目の銀行の新規開設は、会社設立後になりますので、時間的にはずっと先になります。ずっと先の話になりますので、ここでは参考程度にさらりとした説明にとどめます。

    筆者の場合2つ目の銀行は、ネットでおすすめ検索をして上位の銀行を選びました。使用したキーワードは、単純に「法人口座 おすすめ ランキング」です。少なからず比較サイトがでてきますので、それらを参考に2つ目の銀行を決めればよいと思います。

    ちなみに筆者は以下のような観点で2つ目の銀行を選びました。

    • ネット銀行:サービスも充実しているうえ、金利等も有利
    • 維持費:無料のところを選択
    • 審査の難易度:設立1年目の会社でも審査が通りやすいところ(っぽいところ)を選択
    • 口座開設までの日数:短いほど良い
    • 振込手数料:安いほど良いが、条件によってゼロ円になる特典がある場合も
    • Pay-easy対応:必須、筆者は知らなかったがこれは意外にも便利
    • 法人クレジットカード:法人クレジットカードは必需品だが、その審査にも時間がかかるため銀行と連携したクレジットカードがあるほうが望ましい(などと、筆者は考えた)

    以下は、とくに個人的な意見によるものですのでご注意ください。
    2つ目の銀行を選択しようとネットで検索&調べていたころの時点で、筆者が考えた候補は4行でした。
    まず、4行の中には1つ目の銀行に選んでしまっていた銀行もありましたので、これは真っ先に2つ目の銀行の選択肢としては外しました。2番目に外したのは、以前からすでに個人の口座を持っていた銀行でした。つまり筆者の場合、上記の条件を使って候補として4行あげたものの、あっさりと2行に絞ることになりました。
    最終候補の2行の法人の連携クレジットカードは、どちらもカードの発行会社としては(たまたまですが)同じでしたので、最後はなんとなくエイヤで選びました。読者のみなさまはそれぞれの事情に合わせてお考え下さい。

    Pay-easyとは

    前節でペイジー(Pay-easy)ということばが出てきましたので説明しておきます。ひとことでいうとPay-easyは、オンライン決済サービスです。
    運営は日本マルチペイメントネットワーク推進協議会というところで、ネット銀行やATMを通じて24時間いつでも支払いが可能です。

    「なぜPay-easyなのか」ということを合同会社の立場からすると、Pay-easyだと国庫金2支払いが可能で、原則手数料がかからないという特典が得られるからです。

    ではPay-easyは、ほかのオンライン決済と何が違うのでしょうか。
    ほかのオンライン決済の手段をとっても支払いは、当然のことですが、可能です。しかし支払いの際に、支払金額の入力をはじめとしてPay-easyよりも入力項目が多いのが普通です。いっぽうPay-easyでは、支払いの際に必要な番号(収納機関番号、お客様番号、確認番号など)を入力するだけで支払金額が自動表示され、支払いが可能なのです。実際にPay-easyを使用してみるとわかりますが、通常のオンライン決済よりもはるかに楽で、間違うことも少ないことが期待できるということが実感できます。

    1. 目的別口座とは、貯蓄の目的ごとに分けてお金を管理するための口座 ↩︎
    2. 国のお金ことで、具体的には税金等を指すことば ↩︎

  • マイナンバーカードのなぞ探訪

    みなさまはマイナンバーカードを使っていますでしょうか。最近は保険証や免許証もマイナンバーカードの中に取り込まれて、だんだんと使用の機会が増えてきている気がします。ですが、これは筆者だけでしょうけれども、別に統合しなくても用が済むようなものを無理くり一緒くたにしている感じがしていて、とくには役に立ちはしないなぁというのが正直な気持ちでした。
    そう思っていた筆者は、マイナンバーカードが会社設立の際に大活躍するのを目の当たりにします。

    マイナンバーカードの電子証明書ってなんだ?

    マイナンバーカードには2種類の電子証明書が搭載されています。

    • 利用者証明用電子証明書:本人であることを証明します。
      • 利用例:マイナポータルへのログイン、コンビニの交付サービス、マイナ保険証
      • マイナンバーカード交付申請時に、(原則として)自動的に搭載されます。
    • 署名用電子証明書:電子文書を送付する際に文書が改ざんされていないことを証明します。
      • 利用例:e-TAXでの確定申告、オンラインの行政手続き
      • マイナンバーカード交付申請時に、搭載を希望するかどうかを選択できます。
      • 非搭載の場合、あとからでも市区町村の窓口で申請は可能です。

    「署名用電子証明書」が搭載されていることが必須になりますので、 自分のマイナンバーカードがそうなっているかどうか確認しておきましょう。

    電子証明書の確認

    マイナンバーカードをめぐって2つの主要アプリ(2つ?)がありますので、それで確認します。

    マイナポータルのアプリ
    JPKIのアプリ
    • マイナポータルというアプリ(内閣府番号制度担当室)
      • マイナンバーカードを利用して、行政手続きや情報確認などを行うためのポータルサイトのためのアプリ
    • JPKIMobileというアプリ(地方公共団体情報システム機構)
      • 公的個人認証サービス(JPKI1)を利用して、オンラインで本人確認を行うためのスマホ用アプリ
        • JPKI利用者ソフトというPC用アプリもある。

    なぜ2種類のアプリがあるのでしょうか?
    それぞれ利用目的が違うからというのですが… わかりません。
    単に所管部門が違うから2つできちゃってるんだ などと考えてはいけません。邪推もしくは言いがかりというものです(たぶん)。

    マイナンバーカードにある電子証明書を確認するにはJPKIを使用します。
    マイナポータルで利用者証明用電子証明書が確認できるらしいのですが、筆者にはたどりつけませんでした。どなたか確認に成功しましたら教えてください。

    パスワードは4種類

    マイナンバーカードには、なんとパスワードが4種類もあります。

    1. 利用者証明用電子証明書のパスワード(4桁の数字)
      • コンビニの交付サービスなどで使用します。
    2. 住民基本台帳用のパスワード(4桁の数字)
      • 住所異動の手続きを行う窓口で転入手続等に使用します。
    3. 券面事項入力補助用のパスワード(4桁の数字)
      • 申請書類の記入時に、カード内の情報(氏名等)の使用を許可するためのものです。
    4. 署名用電子証明書のパスワード(英大文字と数字の組み合わせ)
      • 申請時に書類の記入の手間を省くため、住所や氏名の記載を簡単にするために使用します。

    たいていは、1~3は同一のパスワードに なっています。
    会社の設立では、とくに署名用電子証明書のパスワードを確認しておきましょう。

    なぜマイナンバーカードが必要なのか

    会社は「法人」と呼ばれる人格を持っています(「法人」に対して人間は「自然人」と呼ばれています)。いまは会社設立の前の段階ですから、当然ながら法人格はまだ持っていません。ですから会社設立は、法人格を生み出すのに会社の設立者個人の人格を頼りに行う必要があるのです(会社設立の申請等に設立者個人が証明を与えるということです)。そして「会社の設立者個人の人格」を裏付けする一つの方法として、マイナンバーカードというわけです。
    もちろんマイナンバーカード以外の方法で会社設立者が申請等に証明を与えてもよい(筆者はマイナンバーカードでしかやっていないので確かではありません)のですが、筆者の調べる限りでは、マイナンバーカードによる電子証明書発行がもっとも手軽で一番安あがり(マイナンバーカードはタダなので)です。

    このことは逆に、会社が設立したあとはすでに独立した法人格を持っているので、会社の設立者個人の電子証明は使えないことを意味しています。会社設立後は、会社自身の電子証明書が必要となるのです。

    ICカードリーダは必要か

    マイナンバーカードを使うとして、その電子証明書を操作するためにはマイナンバーカードを読み込む何らかの仕組みが必要です。筆者として絶対の自信があっていう訳ではないのですが、会社設立の申請書等の作成にはPCのほうがよいでしょう。申告書等は何度も書き直すことになるうえに、書き直しが発生するとほかの文書にも影響があるのでPCでの作業のほうが向いていると思われます(筆者はやっていないので何ともいえませんが、スマホ・タブレットでも可能なはずです)。

    PCの場合の、マイナンバーカード読み込みに必要な機器は以下の2通りが考えられます。マイナンバーカードの読み込みにICカードリーダではなく、スマホ等を選んだ場合には当然のことながらICカードリーダを購入する必要はありません(ICカードリーダとスマホとでは、所有率はだいぶ違いますよね)。

    • ICカードリーダ
    • スマートフォン等
      • 申請に利用する機器を選ぶ」にあるとおり、スマホをICカードリーダ代わりに使えるそうです。
        • 実はこの方法はあとから知ったので、筆者自身は試したことはありません。
    1. JPKI: Japanese Public Key Infrastructure ↩︎

  • よし、会社を設立するぞ!

    2025年1月に合同会社を設立しました。
    その際に経験した、設立までの手続や、申請書などの書き方をコラムにまとめてみることにしました。毎回すこしずつ、話題を変えて掲載していきたいと考えています。これから合同会社の設立を目指すみなさまのお役に立てればなによりです。

    会社設立に際して

    筆者としては、会社の設立に以下の心構え、方針で対応しました。

    • お金をかけない
      • 申請手続の代行業者や、便利な(ときに便利すぎる)アプリにお金をかけない。
        • ネットで検索するとわかりますが、無料で申請手続の代行を行うサービス(という名称でよいのかどうなのかわかりませんが、そういうもの)があります。「お金をかけない」方針への対応としては理想的ですが、後述の「なるべく自分の力で行う」方針には反してしまいますので筆者は採用しませんでした。
        • この方針で臨んだはずなのに、筆者の先入観などが邪魔して、無駄とも思えるお金の使い方をしてしまった例もあります。そういう失敗もこのコラムに載せていきますので、ご参考になさってください。
    • 手続はできるかぎり電子的な方法をとる
      • 世の中、いまどき“紙”申請書でもないでしょう…と思ったので。
        • しかし実際にやってみると、「あっ、そういうのも電子的な方法って言っちゃうんだー」とか、「えっ、これじゃぁ電子的な方法をとる意味がないじゃん」という世にも奇妙な事象にぶち当たります。
    • 我慢強く取り組む
      • 初めてでなにしろ知らないことだらけなのだから、短気を起こさない。
        • 実際にやってみると、この方針の完遂をくじく出来事が次々とおそってきます。
    • なるべく自分の力で行う
      • 専門家にお願いすれば簡単に解決するのはわかるのですが、それでは自分の経験になりません。
      • 会社を設立するなんてめったにできる経験ではないと思い、ここはひとつ学びながら進めようと考えました。
        • 実際にやってみると、世の中の仕組みがよーくわかりますよ。

    事前準備

    会社設立に必要になるものは事前に用意しておくことにしましょう。

    • 設立者本人のマイナンバーカード
      • 搭載されている電子証明書を利用して、オンラインで電子署名を付与するのに必要です。
      • マイナンバーカード交付申請時に「署名用電子証明書」を申し込んでおく必要があります。署名用電子証明書が付加されていないマイナンバーカードをお持ちの場合は、追加申請しておきましょう。
    • ICカードリーダ
      • マイナンバーカードを読み込むためのICカードリーダを購入しておきましょう。ただしこれは必須ではありません。
        • スマホをICカードリーダ代わりに使用することが可能なようです。可能なようなのですが、筆者は未経験なので確信はありません。
        • スマホにマイナカードの機能が搭載されるようになりました。このことによって何か変化が起きているかもしれませんが、筆者としては未確認です。
        • スマホをICカードリーダ代わりに活用した経験をお持ちのかたがいらっしゃいましたら、その経験をお知らせください。
    • 銀行口座
      • 設立する合同会社の資本金を振り込んでおく銀行口座を用意する必要が出てきます。
        • 銀行口座は、新規口座(または目的別口座)を用意します。
        • 筆者は、目的別口座を使いませんでした(というか、その時点で目的別口座というものの存在を知らなかった)ので未確認です。
        • 会社を設立する前なので、当然ながら会社の銀行口座を作れるわけもなく、銀行口座の名義は設立者です。
    • PCやインターネット、オフィスソフトなどのIT環境
      • 「申請用総合ソフト」を使って申請する場合には、WindowsのPCでなければなりません(という制限があります)。
        • 筆者はWindows 11のPCを使い、会社の設立申請には「申請用総合ソフト」を使用しました。
          • 筆者の場合、普段プライベートではMacBook Proを多用しているので、分ける意味もあってWindows PCを使用しました。
      • 「法人設立ワンストップサービス」を使って申請する場合には、Mac等でも大丈夫だと思いますが、筆者は未経験ですのでわかりません。
        • 法人設立ワンストップサービスで合同会社の設立を経験されたかたがいらっしゃいましたら、その経験をお知らせください。
        • あと、筆者はMacを使って申請をしていませんのでわかりません。
          • MacとWindows PCでは使用の文字コード体系が違うので、そこで不都合が起きはしまいかと多少気になっています(私見です)。
      • 申請用の文書を作成するために、文書作成ソフトが必要です。
        • 筆者はMicrosoftのWORDを使いましたが、LibreOfficeなどの無料のオフィスソフトなどが利用できるようです。
        • 結局のところ作成した文書をpdfで出力できれば文書作成ソフトはなんでもよいと思われます。
          • LibreOfficeの場合、メニューバーから「ファイル」→「エクスポート」でpdfを指定するか、または「ファイル」→「次の形式でエクスポート」で「PDFとしてエクスポート」を選択し、表示されるオプション画面でページ範囲や解像度を設定後、保存すればよいはずです。

    さいごにおことわりを

    筆者は、いかなる意味においても、会社設立の専門家でも何でもありません。
    もっというと、世の中の仕組み(会社の設立だけでなく運営、例えば会社に必要な規則や帳票、営業のやり方、税金や年金や健康保険のこと、経理なんかはとくに1)についてぜんぜん知らない(知らなかった)というのが真実です。
    というのも筆者はおおかたの日本の社会人と(たぶん)同じで、定年の歳までどっぷりとサラリーマンとして勤めていたからです。つまりその長きに亘るサラリーマン年月の間、複雑な世の中の仕組みからは遠ざかることができていました。例えば、税や健康保険料が源泉徴収されていたので細かいことを知る必要はありませんでした。世の中の仕組みに無知でしたが、それで十分済んでいたのです。2

    この一連のコラムはそんな筆者が書いたものですから、偉そうに書いてはいるものの内容は間違いだらけの可能性があります。筆者が書いていることを鵜吞みにはせず、ぜひともご自身で他にあたって調べ、納得してことを進めるようにしてくださればと思います。そしてみなさま、コラム中に誤りや誤解を与えるような箇所があるとお気づきになられましたら、ぜひとも筆者にご連絡いただければ幸いです。そうしていただければ、さらなる被害は防げましょうし、筆者自身もまたすこし賢くなれるのではないかと思いますので。

    1. これら筆者の不得意領域についても、この先コラムに書いていきます。 ↩︎
    2. まぁ、こんなところで自分の無知を日本のサラリーマンの仕組みのせいだと言い逃れするのは卑怯だとは思っています。 ↩︎