会社を設立したらその会社名義の銀行口座が必要になります。それくらいのことは筆者でもわかっていたのですが、会社名義の銀行口座を開設する前に、会社設立それ自体のために個人の銀行口座が必要だとは思っていませんでした(うーん、いま考えると我ながらレベルが低い)。どういうことか、順を追って説明いたします。
合同会社には資本金が必要
会社の設立時、資本金の金額を定款や資本金決定書に書く必要があります。また会社設立の申請時には、資本金を実際に用意したことを示す必要があります。つまり用意した銀行口座に、資本金を振込んでおく必要があるのです。ホントに振り込まれているかどうかを証明するために、銀行が発行した、銀行口座の入出金明細が必要になります。
勘違いはなさらないと思いますが念のため。これから会社を設立しようとしているこの時点では、会社は存在していないので法人格を持っていませんから、会社名義の銀行口座は開設できません。ということで、資本金を入金する(資本金を用意する)銀行口座は、設立者個人の名義の銀行口座なのです。
個人の銀行口座なら(無駄に)いっぱい持っているぞと、おっしゃる方も多いと思います。なぜだか、人生長く生きていると、不思議と使ってもいない銀行口座があったりします。ですから、そういった銀行口座をここで活用するので十分!と、言いたいところですが、自分が持っている既存の銀行口座はあまりおすすめできないようです。
既存の銀行口座には過去に行った取引の履歴が残っていますから、そのままですと会社設立のために入金した資本金とプライベートな入出金履歴が混じってしまうというのがその理由です。
というのも、会社の設立の申請時に入出金明細を添付するのは、会社設立者が個人的に「資本金相当のお金を持っている」ことを示すのが目的ではないからです。そうではなくて、今回の会社設立にあたって「きちんと資本金を用意した」と明確に示すのが目的なのです。そのため、ほかには入出金取引が一切ない、まっさらな銀行口座にポコッと資本金の入金だけがある入出金履歴が理想的ということになります。
というわけで、資本金を用意する銀行口座は、新規開設するのが望ましいということになります(実際に著者は、新規に銀行口座を開設しました)。
ですが既存の銀行口座でも、目的別口座1に資本金をまとめるという方法があるようです。筆者は試していないので詳細はわかりませんが、目的別口座を作成してそこに資本金を入金すればよいようです。目的別口座に資本金を移動して会社の設立申請を経験された方がいらっしゃいましたらご経験をお知らせください。
銀行口座を新規開設する
前述のとおり、まだ会社の設立前なので、会社名義の銀行口座はまだ作れません。そのため新規口座を開設する場合、設立者個人の名義で開設することになります。
しかし当然のことながら会社設立後は、会社には会社名義の口座が必要となります。つまり会社を設立したあと、設立者の個人名義の銀行口座とは別に、会社名義の銀行口座を新規開設することになります。会社設立の前後という短期間の間に、2つも銀行口座を新規開設することになるのです。

おそろしいことに(個人的な感想です)、会社設立後に法人口座を新規開設したあと資本金をそこに移動してしまうと、会社設立前に新規開設した銀行口座はもう使わない無用の口座になるということです。大したことはないと思いつつも、無駄な感じがしてこれは個人的には悩ましい事態と言えると思っています。
筆者は会社の設立申請当時、目的別口座というものの存在を知りませんでしたので今から考えると残念な気がします。今でしたら真剣に目的別口座を検討してみるのがよいかもしれません(うまくいくのかどうかは、やったことがないのでわからないのですけれども)。
ということで、筆者の場合は新たに銀行口座を開設しました。そして、どうせ新規に銀行口座を開設するであればと、以前から気になっていたサービスを持っていた銀行を選びました。みなさまも新規に銀行口座を開設するのであれば、気になっているサービスを持つ銀行や、面白いサービスを持つ銀行を選んでみてはどうでしょうか。
それと同時に、法人口座を新規開設したあとの使い方を考えておく必要があると思います(もちろん口座を解約しても構いません)。
ちなみに著者の意見としては、新規に口座を開設する2つの銀行は「ネット銀行」に限ると考えています。理由はいたって簡単で、オンラインで手続きが済みますし、大手の銀行に比べると口座の開設審査に時間がかからない傾向があるからです。口座の開設に印鑑が必要になると、これまた面倒です(とくに法人口座のほうは、法人の銀行印を事前に作成しておかなければならないことになりますので)。
1つ目の銀行(会社設立前の銀行)
このコラムは、著者の経験をもとにしていて、できるかぎり具体的に書くことにしています。しかし同時に、具体を追及するあまり話題のなかに固有の会社や商品が出るのは望ましくないとは考えています。逆に固有名詞が出ないと全体にモヤっとした感じになってしまうので悩ましいところですが、特定の会社の特定の商品を宣伝することにもつながりかねないのでほどほどにオブラートに包むことにいたします。ご了承ください。
まず著者は、会社設立前に新規口座開設を行う「1つ目の銀行」を、会社設立後に法人名義の「2つ目の銀行」が新規口座開設されたあとも解約しないことにしました。
そして1つ目の銀行(個人名義の口座)は、2つ目の銀行(会社名義の口座)から給与振込を受ける口座にしました。

以下は、とくに個人的な意見によるものですのでご注意ください。
資本金を振込む1つ目の銀行には、筆者は以前からすこし気になっていた特典が付くネット銀行を選びました。会社設立後も個人の銀行口座として存続させると決めたので、このように特典の有無で銀行を決めるのもよいかもしれません。読者のみなさまはそれぞれの事情に合わせてお考えください。
2つ目の銀行(会社設立後の銀行)
2つ目の銀行の新規開設は、会社設立後になりますので、時間的にはずっと先になります。ずっと先の話になりますので、ここでは参考程度にさらりとした説明にとどめます。
筆者の場合2つ目の銀行は、ネットでおすすめ検索をして上位の銀行を選びました。使用したキーワードは、単純に「法人口座 おすすめ ランキング」です。少なからず比較サイトがでてきますので、それらを参考に2つ目の銀行を決めればよいと思います。
ちなみに筆者は以下のような観点で2つ目の銀行を選びました。
- ネット銀行:サービスも充実しているうえ、金利等も有利
- 維持費:無料のところを選択
- 審査の難易度:設立1年目の会社でも審査が通りやすいところ(っぽいところ)を選択
- 口座開設までの日数:短いほど良い
- 振込手数料:安いほど良いが、条件によってゼロ円になる特典がある場合も
- Pay-easy対応:必須、筆者は知らなかったがこれは意外にも便利
- 法人クレジットカード:法人クレジットカードは必需品だが、その審査にも時間がかかるため銀行と連携したクレジットカードがあるほうが望ましい(などと、筆者は考えた)
以下は、とくに個人的な意見によるものですのでご注意ください。
2つ目の銀行を選択しようとネットで検索&調べていたころの時点で、筆者が考えた候補は4行でした。
まず、4行の中には1つ目の銀行に選んでしまっていた銀行もありましたので、これは真っ先に2つ目の銀行の選択肢としては外しました。2番目に外したのは、以前からすでに個人の口座を持っていた銀行でした。つまり筆者の場合、上記の条件を使って候補として4行あげたものの、あっさりと2行に絞ることになりました。
最終候補の2行の法人の連携クレジットカードは、どちらもカードの発行会社としては(たまたまですが)同じでしたので、最後はなんとなくエイヤで選びました。読者のみなさまはそれぞれの事情に合わせてお考え下さい。
Pay-easyとは
前節でペイジー(Pay-easy)ということばが出てきましたので説明しておきます。ひとことでいうとPay-easyは、オンライン決済サービスです。
運営は日本マルチペイメントネットワーク推進協議会というところで、ネット銀行やATMを通じて24時間いつでも支払いが可能です。
「なぜPay-easyなのか」ということを合同会社の立場からすると、Pay-easyだと国庫金2の支払いが可能で、原則手数料がかからないという特典が得られるからです。
ではPay-easyは、ほかのオンライン決済と何が違うのでしょうか。
ほかのオンライン決済の手段をとっても支払いは、当然のことですが、可能です。しかし支払いの際に、支払金額の入力をはじめとしてPay-easyよりも入力項目が多いのが普通です。いっぽうPay-easyでは、支払いの際に必要な番号(収納機関番号、お客様番号、確認番号など)を入力するだけで支払金額が自動表示され、支払いが可能なのです。実際にPay-easyを使用してみるとわかりますが、通常のオンライン決済よりもはるかに楽で、間違うことも少ないことが期待できるということが実感できます。